愛媛県伊予市の町家で寄付型リサイクルショップや観光地「黄色い丘」の広報に携わるなど、佐礼谷地区「地域おこし協力隊」を経て起業

SDGsを考える、地域活性化や子育て支援に尽力

 エスダムスメディアJAPANによる、「ベンチャー・女性の活躍・地方活性化」がキーワードの特集記事を配信しています。ライター『シャチョ』ことエスダムスメディア代表山口が感銘を受けた、愛媛県伊予市に寄付型リサイクルショップを運営する逢沢亜月さんの活動をご紹介します。

  • http://黄色い丘のマスコットななちゃんと逢沢さん
  • http://生産者の松浦義憲さん
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    伊予市の町家で寄付型リサイクルショップを運営「metome(みとうみ)」
     逢沢さんは、数年前に、カナダ・バンクーバーで大きな倉庫のような広い店内に大量の品物が並ぶ寄付型リサイクルショップに足を運びました。その場所は、とても活気があり、寄付で集まっているのに、宝石など高価な物も揃っていることに感銘を受けたそうです。このようなリサイクルショップは、欧米では広く知られているにもかからわず、日本ではまだまだ認知度が低いようです。
     お子さん2人を育てた逢沢さん自身も知人からもらった“おさがり”に助けられ、「“おさがり”には需要がある。制服や学用品は、定価で買うものだという価値観を取り払いたい。」と起業しました。

    子どもおさがり専門店 metome(みとうみ)

    子どもおさがり専門店 metome(みとうみ)

     伊予市地域おこし協力隊の中山町佐礼谷地域担当として3年間活動後、起業して地域に根ざした新しい仕組み作りに携わり続けています。子育ての経験が大きく、その中で服や子ども用品の“おさがり”に助けられたことを思い出し、自分が地域の中で“おさがり”を循環させる役割を担いたいと、寄付型リサイクルショップ「子どもおさがり専門店 metome(みとうみ)」をオープンさせました。
     「若い世代にリサイクルという選択肢を知ってもらいたい。子どもたちは今までの生活スタイルになかった経験でも、与えると楽しみます。新しい文化を作っていきたい。みんなを元気にする仕事がしたい」と逢沢さん。metomeは今春に閉店する予定ですが、形を変えてこのような活動を続けていく予定です。

    規格外の高級かんきつを新ブランド化「愛どまんなか」首都圏ターゲットに直販
     どっこいみかん島からはじまったみかん事業。愛媛県といえば「みかん」、誰もが頭に思い浮かべます。逢沢さんは愛媛県人も驚く味の柑橘を見つけ、「貴方の心の道の駅」をコンセプトに遠く離れた島と首都圏を結ぶ懸け橋になるべく、県外にはなかなか届かないジューシーで輝く“規格外の果実”の販売をはじめました。

    生産者の松浦義憲さん

    生産者の松浦義憲さん

     「紅まどんな」とブランド名を冠して流通するのは、県内で栽培された「愛果28号」のうち、JA全農えひめによる厳しい選別基準に合格したもののみです。厳格な選別を経て出荷する「紅まどんな」は、高い市場評価と価格などのブランドを確立することに成功しましたが、十分なおいしさながら小さな傷などがあるために「紅まどんな」を名乗れない果実も多く発生し、農家の収入低下につながるなどの問題も生まれています。そこで規格外商品を「愛どまんなか」とブランディングし、首都圏をターゲットに直販しています。

    ※引用元:松山経済新聞 https://matsuyama.keizai.biz/headline/2544/(外部リンク)

    ・「佐礼谷の黄色い丘」みかんの遊休農地を生産地と観光地一体型の新しい消費スタイルへ

     みかんを作っていた遊休農地を「みんなが楽しく集える場所」として整備した丘がありました。逢沢さんはその地をさらに活用できないかと模索しました。既存の花き流通の「生産者→生花市場→花屋→顧客」という流れの2か所のマージンをなくし、「ミモザが好きな顧客が黄色い丘に買いに来る」ことができ、生産地と顧客をダイレクトにつなぎました。さらに観光地も一体化した新しい消費のスタイルを作り出しました。

    黄色い丘のマスコットななちゃんと逢沢さん

    黄色い丘のマスコットななちゃんと逢沢さん

     ミモザとは、マメ科アカシア属の植物の俗称で黄色く「ポンポン」が特徴の花です。ヨーロッパでは日本における桜の木のように広く大衆に愛されている存在です。また、イタリアでは3月8日国際女性デーに、お世話になった女性に向けてミモザを贈る習慣があります。逢沢さんは、日本でも徐々に国際女性デーの認知が高くなってきたことに着目し、2017年に7本の苗を植樹しました。それが「黄色い丘」の物語の始まりでした。

     「黄色い丘」が有名になってきたこともあり、2021年1月16日に伊予市内で育った「ミモザ」を「イヨミモザ」と名づけ、ブランド化しました。 2021年3月7日(日)に開催した「黄色い丘のイヨミモザまつり」は、2,000 人を超える来場者で、嬉しい悲鳴をあげることができ、2022 年には、実行委員を作り個人でなく地域のイベントとし、3月の総計で来場者が1万人を超え、近隣の道の駅の売り上げが上がるなど地域経済に貢献しています。

    イヨミモザ https://www.facebook.com/iyomimosa/ (外部リンク)

    ・季節里子の受け入れなど、子どもたちのために今自分ができることを

     常に自分がいまできることはなにかと模索している逢沢さんは、季節里子の受け入れをしています。季節里親とは、「児童養護施設などで暮らしている子どもに学校の休業期間における数日間にわたって、家庭生活を経験してもらうこと」を目的に掲げる里親です。
     大企業が掲げるSDGsも大切ですが、実際に彼女のように行動に移している人がまさにSDGsの一助となっているのではないでしょうか。1人1人がSDGsを自分事として捉え、日々の生活の中で小さな行動から起こせるような社会になればと願います。

    逢沢 亜月(あいざわ あつき)
    1975年生まれ、神奈川県川崎市出身。愛媛県に移住し約16年。
    大手通信会社で広報を8年間担当した経験があり、SNSやメディアを通した発信力が強み。
    2016年より伊予市地域おこし協力隊を務め、2019年伊予市米湊の交流施設「町家」に1号店を開いた。2020年と2022年に日本経済新聞ピッチコンテスト愛媛代表として参加。

    ■店舗情報
    店舗名:metome(みとうみ)
    所在地:愛媛県 伊予市米湊827-4
    営業時間:火曜~木曜・土曜 11:00〜13:00
    定休日:日・月・金曜
    お問い合わせ:picoponpicopon@yahoo.co.jp

    ▼Instagram▼
    https://www.instagram.com/kanikanizuwai (外部リンク)

    ▼Twitter▼
    https://twitter.com/kanikanizuwai (外部リンク)

    編集後記
    2021年2月27日の日経新聞の記事を目にしたとき「これだ!」と衝撃を受けました。思い立ったら即行動!すぐに逢沢さんに連絡を入れ、私も同じことをこの地域でやりたいと立ち上がりました。逢沢さんの一挙手一投足に目が離せません。

    ■ライタープロフィール
    シャチョ
    中国上海の日系企業で商品開発・マーケティングに従事。
    2021年7月1日よりエスダムスメディアJAPAN株式会社代表取締役に就任。
    逢沢さんの活動に感銘を受け、2021年7月4日おさがり専門店naNashi(ななし)を石川県金沢市にオープン。石川県金沢市出身、北京語言大学経済貿易学部卒。

    関連URL

    https://www.instagram.com/kanikanizuwai

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