石川発×女性の活躍【MAISON IKE】「大好きな地元で大好きなお菓子を作りたい!」という夢を形に。コンフィチュール作家 福岡 奈緒美さん特集

地元の旬のフルーツを使ったコンフィチュールでもっと身近に、そして季節を味わってもらいたい

 エスダムスメディアJAPANでは、「ベンチャー・女性の活躍・地方活性化」をキーワードにライター独自の視点による特集記事を配信しています。今回は、石川県金沢市でコンフィチュール店を経営する、福岡 奈緒美さんを特集します。コンフィチュール(confiture)とは、果物を砂糖と一緒に煮詰めた料理のことで、語源は「コンフィ」というフランス料理での保存性を高める調理法から来ています。
 筆者は珈琲とお菓子が大好き。美味しい珈琲と美味しいスイーツ、そのどちらかが尖ることなくマリアージュするお店を探し続け、ようやく辿り着いたのが、福岡さんのお店「MAISON IKE(メゾン イケ)」でした。スイーツ・ドリンク・お店の雰囲気、全てが筆者の「かわいい」を満たしてくれるお店。2015年に出会ってから8年もの間筆者の心を掴んで離さない理由を求め、「MAISON IKE」の福岡さんに取材をさせていただきました。

  • 【MAISON IKE 公式Instagram】 https://www.instagram.com/maisonikeeeee/ (外部リンク)

    ■「MAISON IKE」店主・コンフィチュール作家
    福岡 奈緒美(ふくおか なおみ)さん プロフィール

    石川県能登地方出身。
     「MAISON IKE」は、フランス・アルザス地方で、「コンフィチュールの妖精」と称されるパティシエール、クリスティーヌ・フェルベール氏(※)の下で腕を磨いた店主 福岡 奈緒美さんが営むコンフィチュールと焼き菓子のお店。アルザスでの1年の修行を終え、「石川でコンフィチュールを作りたい」と考えた福岡さんが選んだのは金沢市。地元の食材を大切に使用したコンフィチュールを作り、まずはイベントでの出店販売を行いました。その4年後、金沢市の中でも郊外の地域でお店を持ちたいと考え、現在のお店が誕生しました。

    ※クリスティーヌ・フェルベール 公式サイト Maison Ferber
     https://www.christineferber.com (外部リンク)

    MAISON IKE

    • クリスマスや誕生日にお店でケーキを選ぶ楽しみが叶わなかった幼少期を過ごした“イケさん”こと福岡さん。ケーキ屋さんやパン屋さんが無い地元から、ケーキやお菓子への憧れを胸にコンフィチュールの世界に巡り合うまで

    福岡さん)
     生活に必要な物を揃えた小さな商店しかない場所で育ったので、ケーキやお菓子への憧れがとても強く、図書館でよくお菓子の本を読んでいました。小さい頃から「大きくなったらケーキ屋さんになりたい!お菓子を作ってみんなに食べてもらいたい!」と思い続け、高校卒業後、「とにかく食の仕事に携わりたい」という思いで愛知県に進学しました。卒業後、洋菓子店勤務の後、調理科のある高校で実習助手をする機会が訪れました。
     実習助手として製菓の先生と仕事をすることで、ケーキ屋さんでは経験出来なかったことをたくさん学びました。フランス菓子を食べるならこのお店、と数々のお店を紹介していただくうちに、どうしてもそのお菓子達に会いに行きたくなり、フランス・パリへお菓子達を巡る旅をしました。さらに帰国後、地方ごとに作られる独特の伝統菓子を知り、パリで出会った最先端のキラキラした眩しいお菓子達とはまた違う、地方の素材を大切にしたそのお菓子達に出会いたい、作りたい、と再び渡仏への気持ちを高めました。

     その後福岡さんはフランスのアルザスやノルマンディーへ渡りたいと思うようになり、語学学校へ通い始めます。2009年、ワーキングホリデーを利用し、1年間のビザを取得。語学学校の先生のサポートを受けあちこちの菓子店に履歴書を送り、「1年間ずっと働くこと」を条件に受け入れてくれた、「コンフィチュールの妖精」と称されるアルザス在住のパティシエール、クリスティーヌ・フェルベール氏の下へ入ることとなりました。

    左)クリスティーヌさんのお店でのスナップ。 右)工場でのスナップ。向かって左側が師匠のクリスティーヌさん。

    福岡さん)
     クリスティーヌのお店はアルザスでも田舎のニーデルモルシュヴィルという山手の村にあって、パン屋を営んでいた父親の店を引き継いだお店でした。その村には商店はこのお店一軒だけで、村に住む人みんながここにパンやケーキ以外のもの、新聞やミルクや野菜などを買いに来ていました。私はお店のすぐ近くのアパートに住み、片言のフランス語での厳しい修行が始まりました。毎日師匠に怒られながら、泣きながら、必死で修行に励みました。
     クリスティーヌは地元をこよなく愛していて、大好きな地元のワインやフルーツを使い、下ごしらえから瓶詰め・シール貼りに至るまで全て自分の手で製作していました。そして、自分のこだわりを決して曲げず、筋を通し、私の作業を全ての工程にわたり自分の目と舌で確認し指導してくださいました。厳しい修行の毎日でしたが、師匠の女性ならではの素晴らしい感性に触れることで、「自分も愛する地元・石川で、郷土の材料を使ってコンフィチュールを作りたい!」という思いをどんどん強くしていきました。

    左)石川県でのイベントに出店した様子。地元の材料を使い、丁寧に手作りされたコンフィチュールとお菓子達。 右)サロン・デュ・ショコラ(毎年東京で開催されている世界最大級のチョコレートの祭典)のため来日した師匠に会うために上京した時の記念の一枚。

    MAISON IKEの店内の様子。アルザスを彷彿とさせる雑貨と家具で迎えられ、お店の扉を開けた瞬間からフランスの片田舎に来たような気持ちに。

    • 金沢で念願のお店を開店された福岡さん。地元・石川のフルーツでコンフィチュールを!

     石川県は日本海側に面しており冬は寒冷地ともなるため、気候の暖かい地方で栽培されるイメージの強い柑橘類の農家さんがいらっしゃるとは想像もしていなかったと話す、福岡さん。

    福岡さん)
     人と人との繋がりで、能登地方で夏みかん農家をされている出村 みよ子さんと出会いました。出村さんはお菓子作りをされている方で、農薬を使わない夏みかんを自分のために栽培されていました。一人では使いきれないくらいの夏みかんができたので、誰か使ってくれる人がいたら…と願っている方でもありました。「形が悪くても美味しく無駄なく保存食を作りたい」という目的から生まれたコンフィチュールは、出村さんの思いにぴったりと合うものでした。そして、旬の地元のフルーツを旬のうちに処理しその時期ごとの季節感を味わってもらいたい、という自分の思いにも叶う奇跡の出会いでした。

    左)夏みかん農家の出村さんと福岡さん。「地元のフルーツでお菓子を作り、季節を感じてもらいたい。」という思いが二人を結びつけ、10年近いお付き合いとなるそうです。 右)夏みかんを使ったピールショコラ。口に入れた途端、濃厚な香りと甘みが広がります。

    地元の農家さんの果物を摘む福岡さん。一つ一つ自分の目と手で確認し、大切に採取していきます。人と人との繋がりのもと素晴らしい農家さんに出会えたことに感謝し、これからも人と人との繋がりを大事にしていきたいと話す福岡さん。

    • 師匠の言葉「ひとつのコンフィチュールはいつもひとつのクリエーション」を大切に、コンフィチュール作りに取り組む福岡さん。福岡さんご自身のコンフィチュールへの思い

    福岡さん)
     バターを塗ったパンに、たっぷりのコンフィチュールをつけて食べたり、紅茶に入れてロシアンティーのように楽しんだり、夏はバニラのアイスクリームにトッピングしたり…たくさんの食べ方を楽しんでみていただきたいです。
     同じフルーツでも産地が違えば味が変わるように、年ごとにそして作るたびにとろみが強かったりまた少し固めだったり、フルーツの持つ甘味、酸味や香りなど、その一つ一つが違えば、コンフィチュールの味も変わります。
     みなさまにも、もっとコンフィチュールを身近に感じていただけたら私も幸せです。

    大量生産では味わうことのできない、手作りならではの優しい味わいのお菓子達。師匠の熱い思いを受け継ぎ、大好きな地元で旬を味わえるお菓子が、日々生み出されています。

     生命を維持する為に必要なものと言えば、空気、水、食事…などが挙げられるでしょう。絵画や音楽、それにお菓子は決して人が生命を維持するために不可欠な要素ではありません。しかしこれらが古来より人の生活に常に存在していたのは、人間が他の生命体とは違う「感情」を持った生き物であり、「楽しみ」を知る生命体だったからだと筆者は思っています。その「楽しみ」は、五感をもって感じることが出来るのです。元気のない時、悲しい時、それらを口(あるいは目、耳)に入れたら、なんだかホッとした。カサカサしていた心が潤った。そんな経験はありませんか?
     筆者がいつも「MAISON IKE」で感じていたのは、そんな時間がゆっくりと流れている心地良さでした。そして、それは、福岡さんの「大好きな地元でお菓子を作りたい!」「季節ごとの旬を味わってもらいたい!」という強い信念から生まれた賜物だったのです。
     この先も筆者は「MAISON IKE」のお菓子達に応援してもらいながら、楽しく生きていきたいと思っています。

    「MAISON IKE」(店主・コンフィチュール作家 福岡 奈緒美さん)

    住所:石川県金沢市朝霧台1-82
    TEL:076-254-1260
    営業時間:9:00〜17:00
    定休日:日・月・火曜
    駐車場:4台 ※乗り合わせでお越しいただけると嬉しいです。
    Instagram https://www.instagram.com/maisonikeeeee/ (外部リンク)

    ※お菓子は毎日気まぐれなラインナップなので、事前にお問い合わせください。

    ■編集後記
     筆者の家ではイベントのたびに「MAISON IKE」でホールケーキをお願いします。毎年、毎イベント、いつも家族の真ん中にいて家族に幸せな時間を運び込んでくれる福岡さんのお菓子達はかけがえのない存在です。この記事をきっかけに、たくさんの方にシェア・ハッピーできたら嬉しいな、と思います。

    ■ライタープロフィール
    Sachienne(金沢市在住)
    大切にしている事は、家族を大切にそして自分の人生を楽しむこと!
    コロナ禍を転機にすべく、楽しみながら仕事が出来るエスダムスメディアJAPANへ飛び込み、自分の新たな可能性を見つけられたらと日夜励んでいます。

    会社概要

    エスダムスメディアJAPAN株式会社

    代表者:山口 貴子

    所在地:石川県金沢市森山1-2-1 FW202

    業種:サービス業—PR業務

    電話番号:050-3204-0372

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