金沢発×女性の活躍【自家焙煎珈琲店 café agre】「珈琲を飲むことで心地良さを感じてもらえたら」珈琲焙煎士 広瀬 美紀さん特集

2023年7月に10周年を迎える金沢市小坂町の自家焙煎珈琲店

 エスダムスメディアJAPANでは、「ベンチャー・女性の活躍・地方活性化」をキーワードにライター独自の視点による特集記事を配信しています。今回は、石川県金沢市で自家焙煎珈琲店「café agre」(読み:カフェ アグレ)を営む、広瀬 美紀さんを特集します。
 以前は紅茶一辺倒だった筆者がある時美味しい珈琲との出会いを果たし、自分でも美味しく淹れたい…と願っていた時、優しく寄り添ってアドバイスをしてくれたのが、広瀬さんでした。それから約8年。変わらないその優しく飾らないお人柄とお店の魅力を多くの方にお伝えしたく、取材をさせていただきました。

  • café agre

    【自家焙煎珈琲店「café agre」公式Instagram】 https://www.instagram.com/cafeagre/ (外部リンク)

    ■プロフィール
    自家焙煎珈琲店「café agre」店主・珈琲焙煎士 広瀬 美紀(ひろせ みき)さん
     島根県生まれ。小学校時代より父親の出身地である石川県金沢市へ移り、現在に至る。
     30歳頃、人生について深く考える出来事があり、本当に自分がやりたい事は何なのかを模索。様々な経験を経て、2013年7月に現在のお店を開店。
     店名の「café agre」はフランス語の「agréable(読み:アグレアーブル、意味:気持ちの良い、心地良い)」から由来しており、珈琲を飲んで心地良さを感じていただけるように…との思いが込められています。
    (J.C.Q.A認定コーヒーインストラクター2級、紅茶コーディネーター)

     

    広瀬さんが、本当に自分がやりたい事は何なのかを深く考えるようになった時、小さい頃からその時までの間に興味を持ってきたことを、一つずつ思い出してみたそうです。そしてその一つ一つを辿って行くうちに、カフェと飲み物が好きな自分に気づいたのだそうです。

     ・珈琲焙煎士となられたきっかけを聞かせください
    広瀬さん)
     一秒でも一瞬でも心を解きほぐす方法があるのだとすれば、私も誰かの心を解きほぐすお手伝いが出来れば嬉しいなと考え、何か飲み物を提供する仕事をしたいと考えました。

     初めに、紅茶に目を向けました。その当時の金沢には自分が美味しいと思える紅茶店が無かったので、紅茶を提供するカフェを作りたいという夢を持ちました。まず自分のやれる事から始めようと考え、兵庫県の紅茶専門店の先生の講座を受けたり、通信制で紅茶コーディネーターの資格を取りました。そして接客を学びつつお店の資金を貯めるために、大手シアトル系コーヒーカフェで働き始めました。そのカフェで仕事として珈琲の勉強をしていくうちに、紅茶とはまた違う化学実験をしているかのような、奥深い珈琲の世界にどんどん夢中になっていく自分を感じました。そして、自分が心から美味しいと感じる珈琲を味わいたいと思うようになり、それは自分で作り出すしかないと決断し、カフェを辞め自宅で道具を揃え、手焙煎することにしました。 

     お店を開店させるための資金はまだ足りていなかったので、無店舗で道具を全て持ち歩きながら、イベント毎に珈琲を提供するというスタイルで仕事をしていました。そのうちいろんな方の善意からスペースを間借りできる事になり、小さな焙煎機を購入し焙煎できる豆の量を増やすことができました。苦節の度に必ず善意ある方からの助けがあり、本当にありがたかったです。少しずつ資金が貯まった頃、今の店舗である物件の紹介がありました。中・高・大学と備わった大きな学園に隣接する住宅街にあり、日当たりもよく、何より学生さん達のフレッシュで明るい雰囲気に満ちた地域の雰囲気に惹かれ、この場所でお店を構えることとなりました。

     

    ・広瀬さんのお店は、コーヒーハンター José.川島 良彰氏(※)の生豆の使用を認定された自家焙煎珈琲店です。川島氏との出会いを聞かせてください。

    コーヒーハンター José.川島 良彰氏との貴重な1枚。広瀬さんの事を応援してくれています。

    広瀬さん)
     お店を開店する数年前に、お客様から川島さんのお店の珈琲豆をいただく機会がありました。その当時はまだスペシャルティコーヒーの存在は一般的では無く、川島さんのお名前はもちろん存じ上げていましたが、その珈琲豆は高嶺の花の存在でした。
     いただいた珈琲をドリップし口に入れた瞬間、とてつもない衝撃が走りました。珈琲の味がプラムをかじって果汁があふれでるようなフルーティーさに驚きました。すっかり心を奪われ、直ぐに東京にある川島さんのお店を訪ね、川島さんのワークショップへも参加しました。
     日を重ねる毎に、川島さんの生豆を自分でも焙煎してみたい、石川県の方にもこの美味しさを届けたいと思うようになり、簡単には許可はいただけないだろうとは思いましたが熱意を伝え、生豆を卸していただける事になりました。それから川島さんとは10年ほどのお付き合いをさせていただいています。

    ※コーヒーハンター José.川島 良彰氏(株式会社ミカフェート代表取締役社長)     
    ミカフェート公式サイト https://www.mi-cafeto.com (外部リンク)

     

    人の心に寄り添う広瀬さんが焙煎する珈琲には、自然と温かな心を持つ人々が集まりました。そしてその人と人とが心地良い時間を共有する機会をも生み出しました。

    医王山で行われた「大人のおさんぽ」(2016年)の様子

     キーさんこと木谷 一人氏が主宰する「とりのなくぞう企画」(※)でのイベント、「大人のおさんぽ」が 2016年春と秋に開催されました。筆者が参加したのは、秋の回。広瀬さんの珈琲を伏流水で飲めると聞き、直ぐに参加の申し込みをしました。医王山の川の始まりの場所へ行き、伏流水で広瀬さんに珈琲を淹れていただき、サルナシや山葡萄の実をおやつにしました。お天気にも恵まれ、「心地良さ」を大切にするキーさんと広瀬さんとの繋がりで集まった皆さまは本当に素敵な方ばかりで、和やかで温かな時間を過ごしました。

    ※とりのなくぞう企画 https://nakuzou.wixsite.com/nakuzou (外部リンク)

    フードコーディネーター あつ緒さん(※)のお茶室で行われた「茶室でコーヒー遊び」(2016年)の様子

     あつ緒さんと広瀬さんのコラボレーションで、茶カブキならぬ「珈琲カブキ」が開催されました。お茶室で珈琲についてのお話を伺いながら3種類淹れていただき、味わった後、その中から1つだけ改めて淹れていただき、それが何かを当てるという趣向でした。
     1月でしたが大変気持ちの良いお天気となり、露地を通って蹲(つくばい)を使ってにじり口から席入することができました。お二人が心のこもったおもてなしと準備をして下さり、非日常の楽しい時間を過ごすことができました。珈琲の香りが漂うお茶席は大変風流で、筆者にとっても心に残る1席でした。

    ※佐冨上あつ緒 公式サイト atsuo food design https://www.ryourika-atsuo.com (外部リンク)
     

    ・広瀬さんの珈琲への思いを聞かせてください

    小型の焙煎機を愛用する広瀬さん。自分の目と手で感じながら焙煎することでしかわからない「学び」があるんです、と話してくれました。

    広瀬さん)
     悩み事があったり大変な思いをされている方がいらっしゃったら、珈琲を飲む事で一秒でも心がほろっと解き放たれるお手伝いができたら嬉しいなと思って自家焙煎珈琲店を始めました。今では、嬉しい時・賑やかな時・静かな時、それぞれの心に心地良く寄り添える珈琲になれているといいなと思っています。

     「このお菓子に合う珈琲はどれですか?」「お父さんにプレゼントしたいのですが、オリジナルブレンドは作ってもらえますか?」など、イベント毎にお客様から相談を受け、その思いに寄り添った珈琲を作る事も増えてきたと嬉しそうに話す広瀬さん。広瀬さんの焙煎する珈琲は、きっとこれからもたくさんの心をほぐし、そして沢山の人に温かな時間をもたらすことになるでしょう。

    自家焙煎珈琲店「café agre」(店主・珈琲焙煎士 広瀬 美紀さん)
    住所:石川県金沢市小坂町南186-1 SKハイツ1 FA
    営業日:水・木・金・土曜
    営業時間:11:00〜17:00
    駐車場:店舗前と横
    Instagram:https://www.instagram.com/cafeagre/  (外部リンク)
    ※「café agre」は自家焙煎珈琲豆を販売する小売店です。

    ■編集後記
    筆者の1日は、家族の為にハンドドリップすることから始まります。家族に美味しい珈琲を飲んでもらいたい一心で広瀬さんに何度も質問をさせていただいたところ、「ご自宅の珈琲器具を全部持ち込んでここでドリップしてみますか?」と言っていただき、お言葉に甘えドリップの一部始終を見ていただきました。「息してる?」と笑われながら指摘されたことは今でも鮮明に覚えています。筆者は真剣になり過ぎていたあまり、ドリップする時に呼吸をすることを無意識に忘れていたのです。珈琲はリラックスした気持ちでゆったり呼吸しながらドリップすると、とても優しい味になることを知りました。それ以来、筆者の家では毎日優しい香りがたちこめる幸せな朝を迎えられています。

    ■ライタープロフィール
    Sachienne(金沢市在住)
    大切にしている事は、家族を大切にそして自分の人生を楽しむこと!
    コロナ禍を転機にすべく、楽しみながら仕事が出来るエスダムスメディアJAPANへ飛び込み、自分の新たな可能性を見つけられたらと日夜励んでいます。

    会社概要

    エスダムスメディアJAPAN株式会社

    代表者:山口 貴子

    所在地:石川県金沢市森山1-2-1 FW202

    業種:サービス業—PR業務

    電話番号:050-3204-0372

    URL:https://sdums.net/

    関連URL

    https://www.instagram.com/cafeagre/

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