喜んでくれる観客のために。日夜全国でライブ活動を展開!【金沢発】ツアーミュージシャン SEiZI/晴志(せいじ)さん特集
エスダムスメディアJAPANでは、「ベンチャー・女性の活躍・地方活性化」をキーワードとした特集記事を配信しています。今回のテーマは「ベンチャー」です。
石川県金沢市在住で、全国各地のライブハウスを巡り年間約200本以上のライブをこなしている男性がいます。ツアーミュージシャンのSEiZI/晴志さん。
ツアーミュージシャンとは…?ツアーミュージシャンの生き方とは?
筆者とは幼い頃からの思い出を共有できる貴重な存在でもあるSEiZI/晴志さん。不思議な巡り合わせを感じながらも多忙なツアースケジュールの合間にインタビューさせていただきました。
【SEiZI/晴志 公式サイト】https://www.souseizi.com/seizi-otonomori

【HAPPY NEWS RECORDS 代表 ・ツアーミュージシャン 】SEiZI/晴志さん
【HAPPY NEWS RECORDS 代表 ・ツアーミュージシャン 】SEiZI/晴志さん ギター演奏・シンガー、作詞・作曲、パーカッション演奏・プロデュース・エンジニア・DTM(パソコンを使用して音楽を作成・編集)と多岐にわたる活動を行う。 |
取材先となったのは、SEiZI/晴志さんの仕事場でもあるご自宅のリビング。幼少期から知っている間柄とはいえ初めての訪問。スタジオのようなバーの様な、国籍不明・ジャンル不明のもはやSEiZI/晴志ワールドとしか表現できない空気感の中、インタビューは始まりました。
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ツアーミュージシャンとして生きていく事を選ぶまで
SEiZI/晴志さんは、幼少期の頃から個性的だったそうです。というのは、彼は転勤族のご一家だったので、筆者の記憶も飛び飛びなのです(取材ではっきりしました)。筆者の記憶するSEiZI/晴志さんは、愛嬌があり、人に嫌味を言わず、垣根を作らず、音楽を語る時は目をキラキラさせている、そんな男の子でした。 お祖母様が保育園の先生をされていたこともあり、生まれた時から家にオルガンがある環境で、小さい頃からオルガンを弾いたり歌を歌うのが好きな子どもだったそうです。度重なる転校生活は彼の個性を十分に発揮できる環境では決してなかったと思われます。しかし、中学生の頃(当時、バンドブームでした)から、バンドマンになるという夢を明確に持ち、高校受験が成功した暁にはバンド活動の為の楽器を買ってもらうという報酬を取り付け、見事受験校を合格することができたそうです。 |
SEiZI/晴志さん)
楽器屋で父親にエレキギターを買って欲しいと言ったら、「そんなものは不良の始まりだ!」と一喝され、フォークギターなら良いと言われたけど、当時フォークギターはかっこ悪いという認識だったから困って…キーボードなら良いと言われて、とにかくバンドしたかったからとりあえずキーボードで始めたの。でもキーボードでやれるバンドと言ったら当時流行ってたバンドのコピーをするくらいで…そのうち組んでた女性ボーカルが抜けて、ボーカルがどうしても見つからないうちに高校の文化祭が近づいてきて、成り行きで自分が歌うことになって。
でも、いざステージで歌ってみたら、あまりにも幸せな空間を体感できて、自分にはこれしかないと目覚めたんだよね。そしてその時、武道館もイメージで見えてしまって(笑)
そのステージのPA(Public Addressと呼ばれる音響制御システムの操作)に来ていたのは金沢のライブハウスに従事している方で、初めてボーカルとしてパンクロックを歌ったSEiZI/晴志さんを高く評価してくれ、毎日ライブハウスに来てアルバイトをしながら活動することを強く勧めてくれたそうです。今をときめく数々のロックバンドが当時はインディーズとして各地のライブハウスを回っており、そのミュージシャン達と真近に接することで、自分も将来こうなるんだという確信を持ったそうです。 |
SEiZI/晴志さんは、バンド活動に精力的に取り組みながら22才での結婚をきっかけに就職し、あまりにも幸せな結婚生活の為1年間音楽活動を休んでしまいました。しかし1年後再開。サラリーマンを続けながらメジャーデビューを目指しコンテストを受け続けましたが、26才の時に転機を迎え、脱サラし音楽活動に専念することを決意。なかなかデビューが決まらない中、30才の時にラストチャンスと決めて受けたコンテストで惜しくも準優勝となってしまいます。失意の中、「エージ&テツ」というツアーミュージシャンと出会いました。こんなスタイルで音楽活動を続けているミュージシャンがいるんだ、とその時に深く感銘を受けたそうです。その後に受けたオーディション合格により、中国に渡りソロデビューとなりましたが、文化と言葉の壁にぶつかり「自分はいかに日本という小さな国の小さな常識の中で生きてきたんだろう?」と痛感。自分の想いを細やかに表現し観客に伝えたいと強く願い、日本語を大切にした歌詞で日本で音楽活動をしたいと考え、1年契約のところ、逃げる様にたった1か月で帰国しました。帰国後、東京のレーベルでソロデビューし活動を始めますが、事務所に所属すると他人の意見・センスの中でしか活動できない不自由さがあり、自分のやりたいことを追求できるインディーズとメジャーの間で心が揺れる時代が続きました。その後、自分の想いを叶えるため、自分1人でブッキングして全ての業務をこなし全国各地を旅しながらライブをし収入を得る「ツアーミュージシャン」としてやっていこうという思いに至ったそうです。 |
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ツアーミュージシャンとは、旅をしながら全国でライブ活動を行うミュージシャンの事
SEiZI/晴志さん)
スタイルは様々で、事務所やレコード会社に所属している人もいれば、フリーランスでの活動するパターン、バンドであったり、多種多様。週末ミュージシャンの人もいる。移動手段も車、電車、バス、飛行機、人によって、場所によって様々である。いわゆる、ドサ周りという言葉が一番しっくり来るのかも?マネージャーが一緒についてまわるなんてのは、今はほとんどいないのかな?と。
僕の場合は、完全にフリーランス。今はインディーズ(レコード会社や事務所に所属せず、独立フリー)での活動になる。ライブバー、ライブハウス、カフェなど演奏場所は様々で、音響機材を自分で持って行く場合もある。お店とのブッキングや交渉、スケジュール、金銭管理はすべて自分で行う。
誰でも出来るわけじゃない。トータル的なバランスが必要なので向いてない人はなかなか出来る仕事ではない。逆にツアーミュージシャンが出来る人はなんだって出来るタイプかもしれない。
よく聞かれる質問の中で、食べていけるの?というのが多い。たしかに、サラリーマンのように保障もなければ、有給やボーナスなんてない。月給が決まっているわけではなく、その日暮らしと言えばそうなのかもしれない。ライブが終わるまで、その日の収入はわからないわけで。ギャラのパターンの場合はありがたいが、ほとんどの店がチャージバック(お客様の入った人数×チャージ料金×何%)または、投げ銭(ブラボーチップともいう)演奏する人の実力次第と言う厳しい世界ではある。あとは、物販。CDやグッズの売り上げ。僕の場合、大体、月に10本から20本くらいのライブペース。単純計算で一回のライブで、2万から3万あげられれば、そこから、ガソリン代などの経費を抜いても、ま、サラリーマンの月給くらいにはなる。じゅうぶんに食べていける。
ミュージシャンって、大騒ぎして、酒のんで、ファンと遊んで(笑)みたいな、適当に生きてる様なイメージを持つ人も多いだろうが、実は、かなりストイックでコツコツまじめにやるタイプじゃないと、持続できない。ましてや、コロナ禍でライブハウスやミュージシャンが叩かれまくったわけで、ツアーミュージシャンそれぞれが各自みんなの代表くらいの気持ちを持たないと、今の世知辛い世の中ではやっては行けない。遊んでるような仕事に見えるかもしれないが、サラリーマンや、商店がお金を稼ぐのと一緒で、音楽で対価をいただく。
悲しいかな、音楽でお金をいただく事を悪くいうアマチュアミュージシャンも多いが、それはただのひがみにしか聞こえない。正直、やれるもんならやってみろ!と思う時もある。
世の中的にプロ=メジャーと言う間違った認識が横行しているが、メジャーではなくインディーズ(独立している)のミュージシャンでも、プロとして活動している人たちがいるということを知ってほしい。インディーズからメジャーへ、と言う認識が多くメジャーを目指してインディーズで活動している、と思われがちだが、そもそも、メジャーから「独立」しているのがインディーズ。「メジャーを目指して!インディーズバトル」みたいなイベントやコンサートやコンテストやオーディションがあるが、これはちゃんちゃらおかしい話なのである。(笑)
ツアーミュージシャンの中にもツアープロミュージシャンと言う人もいる。趣味で週末だけツアーミュージシャンをやってる人もいるので、カテゴリー分けしたいのだろう。
僕個人としては、こう言うことが多いかな?
「プロのミュージシャンとして音楽で飯を食ってます。全国を旅して歌ってまわってます。」
ツアーミュージシャンという生き方もあるということ。メジャーでなくても音楽で飯を食ってる人たちがいると言うことを広く知っていただきたいし、そんなミュージシャンたちを応援して欲しい。

(左から2番目)SEiZI/晴志さん
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ソロシンガーとして、バンド「ソーセージ」として全国に音楽を届けたい
ツアーミュージシャンとしてソロ活動する中、現在のバンドメンバーであるSouこと平野 壮(ひらの そう)さんと出会い、ロックバンド「ソーセージ」が誕生します。ちょうど東日本大震災から1年後のことで、被災地である東北へライブに来てくれないかという依頼がやって来ました。状況もよくわからないまま、求められるままに現地へ赴くと、そこには想像を絶する現実が待っていました。自衛隊は必死に捜索活動しており、仮設住宅もまだ整っていない状況でした。瓦礫の山が広がる現地を目にし、正直ライブを行っている場合ではないんじゃないかと思ったそうですが、現地の人々の強い希望もあり、津波で1階が無くなったオープンな公民館で、電気が復活したばかりの中ライブを行ったそうです。集まったのは、予想を大幅に超えるたくさんの老若男女のお客さん達でした。ライブをしている間中、みんなで盛り上がり、手拍子し、踊って、歌って…お客様と一体となって音楽を楽しむ時間を体験しました。 |
SEiZI/晴志さん)
普段の生活もままならない状況だった子どもから年配の方、みんなから「1年ぶりに笑ったよ!」「1年ぶりに楽しい時間を過ごしたよ!」「また来てな!!」と口々に言われて、ライブして良かったな、音楽の持つ力ってスゲーなって、心の底から感じた瞬間だったね。これが東北ツアーを始めるきっかけとなって3か月に1度通って、昼は仮設住宅や施設や学校で、夜はライブハウスでと音楽活動を続けてました。
大きな会場で大勢のお客様を前に演奏できる喜びはもちろん大きいものではあるかもしれません。しかし、小規模な会場でお客様の喜ぶ姿や表情をつぶさに見ながら一体となってライブを楽しむスタイルが、SEiZI/晴志さんが本当にやりたいことだったのだと改めて気づいたそうです。 |
SEiZI/晴志さん)
コロナっていう思わぬ障害が現れて、ライブハウスで活動出来なくなって本当に悔しい日々を過ごしたけど、配信というスタイルは嫌だった。ライブの空気感、匂い、音色って生のライブでしか味わえない。生の音楽を大事にしたいと思ってずっとその日を待ってた。
多忙なスケジュールで体を酷使していたSEiZI/晴志さん。望まれるままに真冬の北海道ツアーを行っていた2018年、ついに体が悲鳴をあげました。両腕と肩と背中に激痛が走り、動かすことが出来なくなってしまったのです。診断されたのは、変形性頚椎症、頚椎症性神経根炎、頚部脊柱管狭窄症。金沢脳神経外科病院で1回目の手術の後、障害者認定をうけリハビリに励みました。約1年半かけリハビリを乗り越えやっと音楽活動に復帰しようとしたちょうど時、コロナが蔓延を始め、またもや活動を止められてしまうのです。 |
SEiZI/晴志さん)
病院でリハビリ始めにギター弾こうとピックを持ったらさ、「ポロ〜ン」て落ちるわけ。ピックを持つ感覚が完全に麻痺しちゃってて。泣いたね。これまで命懸けでやってきた事が出来なくなるんだって思ったから。でもさ、周りの仲間達が、俺が諦めるわけないって信じてくれてたんだよね。それで、また音楽活動できる日のためにリハビリと自宅療養を続けてた。
コロナ禍がずるずると続く中、今自分にできることをやろうと考え、大阪医科大学附属病院の先生による特殊な手術を受ける必要性もあったため、2度目となる手術を決意。声帯に関わる部位のため高音が出せなくなるかもしれないというリスクはあったものの、現状打破の為敢行。そしてまたもや長いリハビリの日々は続きました。そして、術前に言われていた通り高音は以前より出せず、両手指6本の運動障害も完治はしませんでした。 |
現在、SEiZI/晴志さんはリハビリを続けながらもライブ活動を再開しています。
自身の信じるスタイルで、喜んでもらえるお客様に会うため、そして唯一無二の空間を共有するため、SEiZI/晴志さんはこれからも旅を続けます。それが、彼が彼らしく生きる唯一の方法なのだと思います。
障壁が彼をますます強くする。人として、そしてその音楽に深みを持たせ、それを全国の人々に伝えていく事が、彼の天職なのだと感じました。
2021年4月1日に公開されたミュージックビデオ「風穴」にはその彼の世界観が存分に表現されています。このMVに載せられた彼自身の言葉を最後に拝借させていただきます。
夢破れ、人生に挫折しそうになった時、車で放浪する中で石川県能登半島の「風穴」に出会った。 「何年も何十年もかけて、風と雨と波が岩を少しずつ削って穴をあけてしまうんだ」 地元のおじさんに教えていただいた。 何年かかってもいいじゃないか! 少しずつ少しずつ「風穴」あけてやれ!!と、再び前に進むことを決意した。 自身の病気克服と復活、コロナ禍の中で大変な思いをしてる人たちへ 今は苦しいけれど、また光がさす未来が来るから 「あきらめちゃいけない」という思いを込めた応援メッセージソング。 |
SEiZI/晴志さん
「HAPPY NEWS RECORDS 代表 ・ツアーミュージシャン」
HP:https://www.souseizi.com/seizi-otonomori
Instagram:https://www.instagram.com/seizihappyman/
FB:https://www.facebook.com/seizi.otonomori
ツアースケジュール一覧:https://www.souseizi.com/live-schedulle
※お問い合わせは、HP内フォームまたは各種SNSにてお願いします。
■編集後記
これまで女性の活躍ばかりを書いてきた私が、初めて男性の特集記事を出すことになりました。彼のMV「風穴」が私の心の琴線に触れたからです。そして、これはいろんな方にも知って、観てもらいたいと思ったからです。自分の「好き」を貫き通す生き方は、決して容易くありません。でも「好き」だから頑張れるし、どんな困難にも立ち向かえる。彼の音楽と言葉と生き方から、勇気をもらえる人がきっとこの世界にたくさんいるのではないかと思っています。
私が好きな作曲家のベートーヴェンは、音楽界への寄与が甚だ大きく、彼以降の音楽家は大なり小なり彼の影響を受けています。ベートーヴェン以前の音楽家は、宮廷や有力貴族に仕え、作品は公式・私的行事における機会音楽として作曲されたものがほとんどでした。ベートーヴェンはそうしたパトロンとの主従関係(およびそのための音楽)を拒否し、大衆に向けた作品を発表する音楽家の嚆矢(こうし)となりました。
時代を超えて皆に愛され、新たな変化をも生み出す「音楽」とは、なんと偉大なのか。
SEiZI/晴志さんの伝えたい「音楽」が、この先ずっと、たくさんの人に勇気を与え、愛され続けますように。
■ライタープロフィール
Sachienne(金沢市在住)
大切にしている事は、家族を大切にそして自分の人生を楽しむこと!
コロナ禍を転機にすべく、楽しみながら仕事ができるエスダムスメディアJAPANへ飛び込み、自分の新たな可能性を見つけられたらと日夜励んでいます。
会社概要
代表者:山口 貴子
所在地:石川県金沢市森山1-2-1 FW202
業種:サービス業—PR業務
電話番号:050-3204-0372
関連URL
https://sdums.net