金沢・鳴和エリアを音楽であふれる街にしたいと奮闘する【Live&CafeBar BUZZ】オーナー上野 博史さん特集
石川県内のミュージシャンが集結!音楽が鳴和を元気にする!2023年7月30日「なるふぇす」開催
エスダムスメディアJAPANでは、「ベンチャー・女性の活躍・地方活性化」をキーワードとした特集記事を配信しています。今回のテーマは「ベンチャー・地方活性化」です。
石川県金沢市の北部に位置する、鳴和エリア。高校や大学に程近く、学生が多く行き交うこの街に、「音楽で鳴和を盛り上げようと奮闘している人がいる」という話を耳にしました。鳴和エリアの学校に通い、勉強そっちのけで毎日音楽に没頭していた筆者にとって、これは聞き捨てならない話題。ぜひ詳しいお話をお聞きしたいと、【Live&CafeBar BUZZ】(読み:ライブ アンド カフェバー バズ、以下BUZZ)を訪れました。








【Live&CafeBar BUZZ公式サイト】 http://buzzcafe.sakura.ne.jp/

【Live&CafeBar BUZZ】オーナー上野 博史さん
今回お話を伺ったのは、BUZZのオーナー 上野 博史さん。突然の取材の申し出にもかかわらず、お店開業までの経緯や、上野さんの音楽に対する熱い思いなど、お話をたくさん聞かせていただきましたのでご紹介します。
【プロフィール紹介】 |

【Live&CafeBar BUZZ】外観
―BUZZでは楽器の演奏が可能なのですね。詳しく教えてください。
音楽のできる場所を探している人たちに、場の提供をしています。金沢は気軽に音楽のできる場所、敷居の低い所がまだまだ少ない。路上も許可が必要で、勝手に音楽ができなくなった。音楽のできる場所がなくて困っている人がいたら「BUZZでやりな」と言ってあげられる。場を作る者として、音楽を簡単にとっかかれるものにしてあげたいなと思っています。
平日はオープンリハで、店内の機材をタダで貸し出しています。ジャズ、ピアノなど、さまざまな生の音楽が流れています。予定が空いている平日はどんどん使ってもらって構いません。お客さんも出入り自由で、その音楽を楽しんでいます。
土日はスタジオ貸し。ライブや発表会で利用されます。3時間4,000円で場を提供しています。店内はオールスタンディングだと最大46人、通常座席を置くと20人~26人ほどの人数が入れます。
―「音楽を聴きながら食事を楽しめるお店」を始めたきっかけを教えてください。
都会にいたとき、街中でなく外れたところでも音楽がポンポン飛んできていました。福岡は特にそう。天神や中洲など、狭い範囲にいくつも小さなライブハウスがあったり、場所によってはラーメン屋から歌声が聴こえたり、普通に街に音楽があふれていて。自分は音楽が好きなので、お店にひょこっと入ってチャージを払い、チャージと言っても千円~2千円ぐらいで、音楽を聴きながらお酒を飲んだりしていました。
金沢に戻って飲食店をしようと思った時に、金沢にもそんな場所を作れたらいいな~と思ったのがきっかけです。大学生の頃、この通りにはおでん屋さん、書店、薬局、ラーメン屋、居酒屋、レコード屋などがあり商店街がにぎやかだったが、そういったお店がなくなり、さみしいなぁと思っていたので、鳴和の街が音楽でにぎやかになったらいいなぁという思いがあります。

【Live&CafeBar BUZZ】で提供される料理一例
―開業までに大変だったことはありますか?
時計屋さんがあった跡地で、更地になっていたところに一から建物を建てました。住宅地にお店を出すので騒音対策は必須。設計士に「そこまでいらないのでは?」と言われるほど防音対策にはこだわり、何度も設計をやり直しました。
初めは鉄筋コンクリートで建てようと思ったのですが、この辺は地盤がゆるいこともあり費用があまりにも高く、別の工法の鉄骨パネルを使ったものや木造など、いろいろと設計をやり直し、最終的には木造で石膏ボードや遮音材を各3枚入れて建てました。また、ドラムは音や振動が地面を通してしまうので、土留めを分厚くし、床に響かないようにしています。ここまで防音にこだわっているので、22時半ぐらいまでは、外の車が通る音と、店内の音が同じぐらい。店内で楽器を鳴らして盛り上がっていても外にはほとんど聴こえていません。
―店名の由来を教えてください。
昔飼っていた犬の名前です。息子がトイストーリーのバズ・ライトイヤーが好きでそこから名付けました。お店のコンセプトが「家族で」なので、店名を決めるときにバズの名前を付けよう!となりました。
その話を知っている常連のお客さんが、孫の使わなくなった犬のぬいぐるみを勝手に店の前の椅子にくくりつけていて、ここ1年ぐらい置いています(笑)

赤いベンチに腰掛けた犬のぬいぐるみがお出迎えしてくれます。
―BUZZでは頻繁にライブが行われていますが、ライブ出演者はどのように集まるのですか?
音楽イベントに出かけて「いいな」と思ったミュージシャンに名刺を配り、その方が「お店で歌わせてください」とお店に来てくれて、その時に別のミュージシャンも一緒に連れて来てくれて…といった感じでミュージシャンの繋がりがどんどん増えていきました。そのうちに富山や福井のミュージシャンとも繋がれるようになり、そういった繋がりが次第に全国に増えていき、全国を回っているミュージシャンたちが「金沢にBUZZっていうところができたぞ。あそこいいぞ!」といい評価をくださって、全国のツアーミュージシャン(※)の方たちに触れ回ってくれました。去年ぐらいからツアーミュージシャンが毎週のようにくるようになり、今ようやくこちらからお願いしなくても「お店空いていませんか」と来てもらえる環境になってきました。
去年の6月に福岡でタマタクチャンピオンカーニバルズというライブサーキットが開催され、行ってきました。全国のツアーミュージシャンが福岡に集結し、5会場のライブハウスで、昼から夜まで、1人30分の枠で歌ってライブを繋げていきます。いい歌い手がいっぱい。時間がつまっていて少ししか見れなかったミュージシャンの動画を帰ってから見て、彼らに友達申請やTwitterで連絡しました。ライブサーキットで出会って金沢のツアーで利用してくれて、そのミュージシャンが違う子をまた連れて来てくれて…繋がり、繋がりですね。お客さんにも「マスター、どこでこんないい歌手と知り合うの?」と声をかけられることもあり、「ライブで聴いた歌い手に声をかけているだけだよ~」なんて話もします。

【Live&CafeBar BUZZ】では、この夏ライブの予約が多く入っています。
しかし最初のうちは、月に1回ライブをできたかどうかといった状態でした。お店を開いたら大学生が自然と来るものだと思っていましたが…自分達の時代はそうだったので。お昼を食べに来たり、夜飲みに来たり、ふらっと立ち寄ってくれるものかと思っていたら、あてにしたものが全く外れてしまい、音楽で若い人達と繋がるにはどうしたらいいのかと悩みましたね。先月やっと金沢星稜大学のジャズ研の子らがお店に来始めました。あぁ、やっと来たかと(笑)若い学生さんが一歩を踏み出してくれて嬉しいものです。
※ツアーミュージシャン…自ら築いたネットワークを頼りに全国のライブハウスやカフェ、飲み屋などを回りライブを行なうミュージシャンのこと。
―都会と金沢では音楽の楽しみ方も異なっていそうですね。どう思われますか?
ライブサーキットには、若い人たちも大勢聴きに来ていました。金沢は文化が違うので、同じことをしようとしても若い人たちは同じように集まらないだろうと思います。全国にツアーミュージシャンがたくさんいることをご存じない方も多いでしょうし、それを伝えるのも店の役割だと思いますね。「何にぎやかなことをやっているんだろう?」と店を覗いたときに、ツアーミュージシャンたちを見ていただけたらいいなぁと。金沢には歌う人は多いが、聴く人が少ない。歌う人もきっと勉強になると思うんですけどね。聴く人を増やしたいですね。
また、都会では仕事帰りに歌を聴きに行く人が多いので、平日の方が人が集まりやすいといった違いもあります。金沢だと「よし、聴きに行くぞ」という体制をとって店に来るのでやはり週末がメインになりますね。ツアーミュージシャンにも「田舎はどうしてもこういう違いがあるんだよ」と話をしたりもします。
金沢のジャズストリートはとても良かった。街中にずっと音楽が鳴っていて、ジャズがあふれていて、人がぐるぐる迂回して。なぜこれを普段から金沢でできないのかなぁ、それが日常になっていたらいいのになぁ…と。音楽がどこかから聴こえて、ふらっと聴きに行ってみようかなと思うような街になればいいなと思います。

平日のオープンリハの様子
―今後のお店の展望や、思いをお聞かせください。
今月は28日営業のうち、14日ミュージシャンが来ていて、最終週は火曜日以外毎日ライブをしています。「全国の皆に自分の歌を聴いてもらいたい」という思いを持った彼らの歌を聴くと、こちらも胸が熱くなります。彼らは気持ちが伝わる歌を歌っています。音楽をやっている店には入りづらく思われたりもしますが、ドアを開けてあげると入ってこられて、初めてアンダーグラウンドの音楽に触れてくださる方もいるのでもっともっとそういう人を増やしたいです。
店の前は旧8号線の大きい通りなので、最近はお店の前側だけ少し音が漏れてもいいかなと思っています。音楽があふれてくる、漏れてくる、それが街のにぎやかさに繋がったらいいなと。音楽はきどったものじゃない。音で楽しむのが音楽。音で気軽に楽しんでほしい。お店がもっと近くにたくさんできてきて、そこからも音楽が聴こえてくるような音が鳴る街「鳴和」になったらいいな、そうなったらいいなと思います。

【Live&CafeBar BUZZ】(左)上野 一美さん (右)上野 博史さん
■店舗詳細
「Live&CafeBar BUZZ」(オーナー・上野 博史さん)
住所:石川県金沢市鳴和1-14-24
TEL:076-254-6080
営業時間:Lunch(月曜~木曜)11:00~15:00 ラストオーダー14:30
Night(月曜~土曜)17:30~23:00 ラストオーダー22:30
定休日:日曜(+不定休)※ライブの際は営業します
公式サイト:http://buzzcafe.sakura.ne.jp/
Instagram: https://www.instagram.com/live_cafebarbuzz/
Facebook: https://www.facebook.com/people/LiveCafeBar-BUZZ/100063716106762/
- 2023年7月30日(日)開催のライブフェス!「なるふぇす」
「鳴和祭り」という町内会主催のお祭りが毎年7月最終土曜日に開催されます。今年は2023年7月29日(土)に3年ぶりの開催となります。会場は鳴和中学校体育館、その向かいではキッチンカー(カレー屋、ハンバーガー屋)、町内の飲食店の模擬店、町内会の有志の方でかき氷販売などが行われます。鳴和以外の人も参加可能のお祭りです。
また、例年土曜日だけだった「鳴和祭り」をさらに盛り上げようと、今年は「鳴和祭り」の翌日7月30日(日)に、鳴和中学校体育館にてライブフェス「なるふぇす~音楽が鳴和を元気にする!~」が開催されます。出演ミュージシャンはBUZZとも関係の深い県内外のミュージシャン9組。昼から夜まで、気持ちの込められた熱い歌が鳴和中学校体育館に響きます。ぜひ足をお運びください。
■イベント概要
なるふぇす~音楽が鳴和を元気にする!~
日時:2023年7月30日(日)12:00~19:00
場所:鳴和中学校体育館
住所:石川県金沢市鳴和2-10-60
出演者:森山もみじ太鼓、阿部浩二、橙だいだい、frame the scenery、Aster、SIVIL、オリーブときのこ、StunFlyer、SEiZI/晴志N@音(ソーセージ)
主催:鳴和商店街振興会、鳴フェス実行委員会
後援:北國新聞社、MRO北陸放送、テレビ金沢、エフエム石川
※会場近辺に駐車場がありませんのでご注意ください。
鳴和商店街公式サイト https://naruwa.jpn.org/
■編集後記
お店を利用するミュージシャンに敬意を持ち、まるでファンの一員かのようにその活動を応援されているオーナーの上野さん。そんな上野さんを慕い、金沢にやってくるミュージシャンもきっと多いのではないかなと感じました。
上野さんのおっしゃるように、金沢市民は音楽を聴きに行くとなると「よしっ、チケットを取って音楽を聴きに行こう」と体制を整えることが多く、私もそうだなぁと気付かされました。その意識をまずは取っ払うことも必要。ふらっと気軽に「なるふぇす」に行ってみよう♪
■ライタープロフィール
Elica(石川県金沢市在住)
建築会社、イベント会社、印刷会社などでの勤務を経て、エスダムスメディアJAPANへ。
『誰かの想いを形にして世の中に届けること』に面白みとやりがいを感じています。
まだまだ知られていない『いいもの』が世の中に伝わっていきますように。
*記事内の写真 引用)「Live&CafeBar BUZZ」公式サイト、Facebookより*
会社概要
代表者:山口 貴子
所在地:石川県金沢市森山1-2-1 FW202
業種:サービス業—PR業務
電話番号:050-3204-0372
関連URL
https://sdums.net