藍染の魅力と手仕事の素晴らしさを伝えたい【金沢発・女性の活躍】染織作家 弘田 朋実さん特集

「人に寄り添うこと、生活に寄り添うこと」を意義とした染織ブランド【Be clothed blue(ビー・クロースド・ブルー)】を立ち上げ、現代における生活のあり方を提案

 エスダムスメディアJAPANでは、「ベンチャー・女性の活躍・地方活性化」をキーワードとした特集記事を配信しています。今回のテーマは「女性の活躍・地方活性化」です。
 石川県金沢市にて、染織作家として活動されている弘田 朋実さん。日々藍を育てながら、染色・手紡ぎ・機織り、その全ての過程を一人でこなし、より多くの方に藍染を知ってもらうべく精力的に活動されています。そんな弘田さんのワークショップを受講した経験のある筆者がその魅力をお聞きしてみたいとお願いしたところ、快く取材を受けてくださいました。

  • 【Be clothed blue/弘田 朋実 公式サイト】 https://cargocollective.com/461445/

    染織ブランド【Be clothed blue】プロデューサー・染織作家  弘田 朋実(ひろた ともみ)さん

    染織ブランド【Be clothed blue】プロデューサー・染織作家  弘田 朋実(ひろた ともみ)さん

    《プロフィール》
    1989 京都府生まれ
    2008 京都市立銅駝美術工芸高校 彫刻科 卒業 
    2012 金沢美術工芸大学 工芸専攻染織コース 卒業
    2014 金沢美術工芸大学大学院 美術工芸研究科工芸専攻 修了

    2014年より“手紡ぎ・藍染め・手織り”を基調としたブランド【Be clothed blue】として活動を始める。毎年生活工芸関連のイベントに参加し、販売だけでなく糸紡ぎや織物のワークショップも行う。現在は金沢を拠点に活動中。

     

    染織ブランド【Be clothed blue】

    • 藍染と出会いまでの道のり

    弘田さん)
     小さい頃から絵を描くことや物を作ることが大好きで、中学校の時に初めて木彫をし、立体的な物を製作する面白さに目覚め、工芸高校の彫刻科に進学しました。
     藍染めに出会ったのは高校一年生の時で、藍染めをもっと深く学びたいと思うようになり、小さい頃から好きだった物を作ることもずっと続けていきたいと思いました。そこで、高校の先生の勧めで染織工芸を学べる金沢美術工芸大学に進学し、染織コースに進んだ2年生から藍染工芸を本格的に始める事となりました。日々試行錯誤しながら管理の仕方を研究し、自分なりの藍との向き合い方を見つけて現在に至ります。

    • 弘田さんが惹かれた藍染の魅力

    弘田さん)
     藍染には「すくも藍」と呼ばれる、蓼(たで)科の藍の葉を乾燥させ発酵させた葉を使います。独特な香りがするのですが、まずその香りに惹かれました。
     発酵させた葉を使わない草木染めは色を定着させるための媒染剤が必要なのですが、「すくも藍」は葉の中に菌がいて発酵させているため、その菌の力を使って色を定着させることができます。「すくも藍」一つで染織を完結できるという点にも感銘を受けました。

    藍染には「すくも藍」という藍の葉を乾燥させ発酵させた葉を使う

    • 日々湧き上がる疑問。疑問を持つ楽しさをくれる藍染

    弘田さん)
     藍染をするためには、まず「すくも藍」を灰汁につけ泥状にし、菌が元気に活動できるよう毎日目と手をかけて育ててあげなければいけません。菌が元気に活動している時に出せる色が一番濃い色でできるだけ多くの材料を染めたい色なのですが、気候の変動などによって水温が保たれず菌の調子が変化してしまうため、どうすれば菌の調子を元気に保つことができるのか、つぶさに観察し、日々湧き上がる疑問の答えを探しながら育てています。
     古来、中国より伝わった物や文化が日本人の持つ技術・開発力で発展した例が多数ありますが、藍染もその一つで、江戸時代頃に中国から日本に伝えられ日本人の持つ技と力によって発展したものになります。人の手にかけなければわからないものを、先人たちが一つ一つ探りながら今日まで繋いでくれた大切な日本の力と技、そして日々疑問を与え思考錯誤する楽しさをくれる藍染を次代に繋げていきたいと思っています。

    弘田さんに日々疑問を与え思考錯誤する楽しさをくれる藍染

    • 「手紡ぎ・藍染め・手織り」を基調としたブランド【 Be clothed blue

    弘田さん)
     高校までは二次元的に染織する楽しさを感じて取り組んでいましたが、大学に入ってからは彫刻のように三次元の立体作品を製作したいと思うようになりました。そして藍染は、その素材の良さにふれることで初めて魅力を実感できるものだとも感じました。
     そこで、工芸品としてではなく、素材を実感してもらうため普段身につけるものや生活の中で使うものを作りたいと思うようになりました。
     藍染は、染める回数や綿の産地の違いによってさまざまな青の色味を引き出すことができ、丁寧に染め重ねていくことで洗濯しても色落ちしにくい製品になることが特徴です。その藍で染めた綿を手紡ぎと手織りをすることで強度を持たせ、色合いや柔らかさや軽さを調節し、使途によって素材感を変えて製品を作ることができています。
     そうやって生み出した藍染製品を実際に手に取り使っていただくことでその良さを知ってもらい、また藍染を通して日本の素晴らしい力と技を繋いでいきたいと考え、染色ブランド【Be clothed blue】を立ち上げました。原初的なモノづくりを通して現代における生活のあり方を提案し「人に寄り添うこと、生活に寄り添うこと。」をブランドの意義としています。

     

    現在、母校である金沢美術工芸大学で後進の指導にあたられている弘田さん。
現代の若者ならではの研ぎ澄まされた感覚の素晴らしさを自身でもっと気づいて欲しい、そして自信を持って自分のやりたいこと「モノづくり」の道を歩み、ぜひ次代を担っていってもらいたいと話されていました。弘田さんの想いを継ぐ次代の藍染作家が、ここ金沢できっと芽吹き根付くことだろうと期待しつつ今回の取材を終えました。

     染織ブランド【Be clothed blue】プロデューサー・染織作家  弘田 朋実さん

     所在地:〒921-8024 金沢市白菊町14−10(現在、開店準備中)
     お問い合わせ先:indigo.tomomihirota@gmail.com
     公式サイト: https://cargocollective.com/461445/
     Instagram:https://www.instagram.com/be_clothed_blue/
     YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCQN4oYdwYYlXEY8HwvK2QDg
     Facebook:https://www.facebook.com/Beclothedblue

    ■編集後記

    筆者が初めて弘田さんにお会いしたのは、こども向け体験イベント「こども工芸修行 弟子求む!(http://otomekanazawa.jugem.jp/?eid=444)」でした。当時工作が大好きだった小学生の息子と一緒に、何度も通って楽しく機織り体験をしました。自由人の息子に丁寧にご指導いただき、自分の作りたい形・作りたい色使いで、日常で使える「物」に仕上げていく楽しさを味わわせていただきました。夏休み期間に2年開催されたイベントはほぼ毎日通い、今でも大変心に残る思い出となっています。息子との温かな思い出を作ってくださり、ありがとうございました。弘田さんの柔和なお人柄と笑顔を、作品をみる度に思い起こされます。今回の取材でゆっくり対話させていただき、藍に直向きに取り組まれる姿に接し、神々しささえ感じました。これからも、自らが選ばれたこの地「金沢」でのますますのご活躍をお祈りしています!

    ■ライタープロフィール

    Sachienne(金沢市在住)
    大切にしている事は、家族を大切にそして自分の人生を楽しむこと!
    コロナ禍を転機にすべく、楽しみながら仕事ができるエスダムスメディアJAPANへ飛び込み、自分の新たな可能性を見つけられたらと日夜励んでいます。

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